依存性パーソナリティ障害 |こころの病気のはなし 一般編

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心の病気の種類

依存性パーソナリティ障害

● 症状

依存性パーソナリティ障害は、他者に対して過度に依存(頼ったり、すがったり)する障害です。世話をしてもらいたいという欲求が過剰で、いつも他者に従って行動します。日常のささいなことを判断するにも他者のアドバイスが必要で、自分の人生における重要な決定であっても他者の言うとおりにします。自分の考えで何かを計画したり、成し遂げたりすることができません。意欲や気力がないわけではなく、自分の能力に自信がないためです。

また、依存性パーソナリティ障害の患者さんは、他人に依存できなくなることが怖くて、「おかしい」と思ったことでも反論することができません。他人から世話を受けるためなら、本当はいやなことがあっても我慢したり、みんながしたがらないことを引き受けたりもします。理不尽な状況になっても自己主張しないため、身体的もしくは精神的な虐待を受けることが少なくありません。

責任ある立場やリーダーシップを引き受けるように言われると不安になり、そうした状況を避けようとします。自分の裁量で行う仕事に耐えられず、職場でうまくいかないことが多々あります。

複数の人に依存するというよりは、特定の人にしがみつくような行動をとります。一人でいることに激しい不安感や無力感を抱くため、依存できる人を失うとうつ病になるリスクが高まります。そんな時、依存性パーソナリティ障害の患者さんは必至になって、他に依存できそうな人を探します。

 

「二人組精神病」(または共有精神病性障害、感応性妄想性障害)といって、二人以上の人が妄想性障害を共有する障害がありますが、そのうちの1人は依存性パーソナリティ障害であると言われています。妄想性障害の人の攻撃的で断定的な妄想を、依存性パーソナリティ障害の人が従順に引き受ける、という関係性が成り立つのです。また、不誠実で虐待をしてくるようなパートナー、あるいはアルコール依存のパートナーを持つ患者さんが、本当はつらいと感じながらも、その人との密着(感)を失うことが怖くて、長期間にわたり我慢していることもあります。

 

なお、依存性パーソナリティ障害は男性より女性に多く見られます。推定有病率は0.6%で、ある研究によると、すべてのパーソナリティ障害のうち2.5%がこのカテゴリーに分類されると推計されています。

 

● 原因

依存性パーソナリティ障害が生じる詳しい原因は解明されていません。しかし、幼児期に慢性の身体疾患のあった人は、この障害になりやすいと考えられています。

 

● 他の病気との関係

誰かに対する過度な依存は、多くの精神疾患で見られます。例えば、演技性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害でも依存は目立つ症状です。そのため、依存性パーソナリティ障害との区別が難しい場合があります。しかし、依存性パーソナリティ障害は、次々といろんな人に依存するのではなく、一人の人と長く関係を持つ点が特徴的です。また、依存的な行動は広場恐怖の患者さんにも起こることがありますが、こちらは著しい不安やパニックを起こす傾向がある点で異なります。

 

● 治療

依存性パーソナリティ障害の予後はほとんど知られていませんが、治療によって改善することが期待できます。

 

精神療法

依存性パーソナリティ障害の精神療法は、しばしば成功しています。その障害の特性も手伝って、面接場面において患者さんは非常に協力的で、立ち入った質問も嫌がらずに治療者(医師や看護師など)の指示に従おうとします。

洞察指向的治療法といって、深層心理の分析などを通して人格を変える治療を受けた患者さんは、自分がなぜ他者に依存してしまうかという理由を理解します。また、治療者に支えられ、励まされることによって、依存の度合いが弱まり、自己主張や自分を信頼することができるようになります。

他の精神療法では行動療法、自己主張訓練、家族療法、集団療法なども行われており、多くの症例で成功をおさめています。

ただ、治療者が障害の原因となっている問題を解決すようにアドバイスすると患者さんは不安になり、治療に非協力的になることがあります。例えば、夫から身体的虐待を受けた妻に、警察に助けを求めるようにいう、などの場合です。治療者には、十分な考慮が求められます。

 

薬物療法

依存性パーソナリティ障害によくみられる特定の症状(不安と抑うつなど)には、薬物療法が用いられます。パニック発作を経験する、あるいは分離不安の強い患者さんには、イミプラミン(トフラニール)が有効です。ベンゾジアゼピンとセロトニン作動薬も有用なことがあります。うつ病または引きこもり症状が精神刺激薬に反応する場合は、それらが使われることもあります。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

『現代精神医学事典』(弘文堂)

 

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