強迫性障害(強迫症)|こころの病気のはなし 一般編

トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし 家族教室 スタッフ募集 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 一般編 > 強迫性障害

心の病気の種類

強迫性障害(強迫症)

● 症状

強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder:OCD)は強迫症ともいいます。代表的な症状の一つが「強迫観念」で、本来ならば気にしなくてもいいようなことに頭の中を占められるようになります。もう一つの際立った症状は「強迫行為」で、特定の行為を繰り返さずにいられなくなります。患者さんの大部分は強迫観念と強迫行為の両方を持っています。

患者さん自身は、強迫観念や強迫行為が不合理だと分かっていることがあります。しかし、時にそれらを正しいことだと主張します。例えば「手を清潔に洗うために時間がかかって遅刻しても、道徳的には正しい」などと言うのです。強迫観念や強迫行為によって、仕事や生活、社会的活動などを大きく妨げられる場合に、強迫性障害(強迫症)と診断されます。

 

強迫性障害(強迫症)の生涯有病率は、一般人口で2〜3%と推定されています。精神科を受診する患者さんのおよそ10%と推定する説もあります。平均発症年齢はおよそ20歳ですが、2歳という低年齢で発症する例も報告されています。

 

強迫観念や強迫行為の内容は人によってさまざまですが、よく見られる順に、以下のようなものがあります。

 

汚染

ほこり、虫、便、尿などが自分に触れて汚れるのではないかという考えに支配され、それを避けるための強迫行為をやめられません。例えば、手を何度も洗って皮がむけてしまったり、虫が家に入るのではないかと恐れて外出を控えたりします。

 

病的疑念

何かを忘れていないか? 間違っていないか? などと疑い、それを確認するための強迫行為をやめられません。玄関のカギや、ガスの元栓を閉め忘れていないかしつこく確認し、約束の時間に遅れたり、家に引き返して再確認したり、ドアを壊してしまったりすることもあります。

 

侵入的思考

「本当はいけない」と思っている攻撃的な行動や、性的な行為についてなどの考えが頭を離れない強迫観念です。警察に自分自身を告発したり、教会などに行って懺悔したりすることもあります。自殺することに思いを巡らす人もいます。

 

対称性

ものごとの対称性や正確さにこだわる強迫観念です。ものの配置や食事をとる順番、ひげを剃る順番など日常生活のさまざまな行為に長い時間をかけます。

 

その他

宗教的な強迫観念や、強迫的な買いだめ、自慰行為をする人もいます。抜毛症(自分で毛髪を抜いてしまう)や、爪噛みが強迫症と関連して生じることもあります。

 

● 他の病気との関係

強迫性障害(強迫症)の患者さんは、他の精神疾患にも罹患することが多いとされています。強迫性障害(強迫症)の患者さんにおけるうつ病の生涯有病率はおよそ67%で、社交不安症は25%です。その他、全般性不安症、限局性恐怖症、パニック症、摂食障害、パーソナリティ障害などになる人も多いようです。

 

強迫性障害(強迫症)と「強迫性パーソナリティ障害」は、名称は似ているものの別の障害です。強迫性障害(強迫症)の特徴は、ある程度決まった強迫観念とそれに対応するための強迫行動ですが、強迫性パーソナリティ障害は過剰な完璧主義と柔軟性の欠如が続くことで、より広範に症状が及びます。もし、両方の症状があるとしたら、それぞれの診断が下ります。

 

● 原因

強迫性障害(強迫症)の原因は、神経伝達物質「セロトニン」の調節がうまくいかないことが関係しているという仮説がありますが、現時点でははっきりとしていません。

 

脳画像研究の領域では、強迫性障害(強迫症)の患者さんは脳の前頭葉、大脳基底核、帯状束の代謝や血流などが活発だと指摘されています。 また、遺伝学の研究によると強迫性障害(強迫症)の患者さんの近親者には、強迫性障害(強迫症)もしくはその傾向のある人が3〜5倍多いとされています。ただし、このデータには遺伝以外の文化的、行動的要因の影響も含まれています。

 

対人関係上の問題が症状を悪化させることがあります。患者さんの多くは、近親者の死亡、自分の妊娠、性的問題などのあとに発症しています。出産や育児などがストレスとなって悪化する人もいます。

 

● 治療

強迫性障害(強迫症)は、精神療法や精神分析による治療が困難で、薬物療養や行動療法が一般的になってきています

 

薬物療法

多くの臨床治験によって、強迫性障害(強迫症)に薬物療法が有効であることが証明されています。薬物はうつ病などによく用いられるものです。標準的な方法としては、SSRIやクロミプラミンで治療を開始し、通常、治療開始から4〜6週間で効果が現れ、8〜16週間ほどで効果が最大に達します。もし効果があまりなければほかの薬物に変更していきます。

抗うつ薬による治療にはまだ議論があります。抗うつ薬で症状が軽減しても、多くの場合は薬物治療を中止すると再発します。

 

行動療法

薬物療法と行動療法を比較した研究はほとんどありませんが、行動療法は強迫性障害(強迫症)に対して、薬物療法と同等の効果があり、より長く持続すると報告されています。治療の原則は、曝露と反応防止です。曝露は、強迫観念のために避けたいもの(例えば、土や床、ほこりなど)に対し、あえて触れてみることです。何度も繰り返すことで、恐れているようなことにはならないと理解します。反応防止は、強迫行為をできるだけ我慢することです。例えば、ほこりに触れたあともすぐに手洗いをしないなどで、強迫行為をしなくても大丈夫であることを学習していきます。

 

精神療法

強迫性障害(強迫症)の治療に精神療法を適用した適切な研究はありませんが、治療が成功した例の報告はあります。

 

なお、治療後の経過はさまざまで、20〜30%は明らかに症状が軽快しますが、40〜50%の患者は中等度の軽快にとどまります。残りの20〜40%の患者さんは、そのまま持続するか悪化します。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなしこころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度デイケア社会資源情報社会資源情報こころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信患者様の活動リンク集 トップページへ