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こころの病気のはなし > 専門編 > 強迫性パーソナリティ障害(

強迫性パーソナリティ障害は,秩序や一定の流儀へのこだわりが強すぎるために,それを完璧にやり遂げようとして,かえって支障をきたすものです。生真面目で責任感が強く,潔癖過ぎるために自分や周囲が不必要なまでに苦しんでしまいます。

人はルールを守って正しく生きないといけないとか,仕事はミスなく責任を持って果たさなければならないとか,物やお金を節約し大切にしなければならないとかいった規範意識,義務感がとても強く,それに過度に縛られてしまうのです。つまり強迫性パーソナリティ障害の人は,ある意味とても真面目で善良な人だと言えるでしょう。ただ,その度が過ぎると周囲とうまく折り合えなかったり,摩擦を生じやすくなるのです。なぜなら,その人の基準からすると周囲の人はあまりにもずさんでいい加減に見えてしまうからです。つい自分の基準を相手や周囲にも押しつけてしまうということになります。

 

定義

完璧主義,秩序正しさ,硬直性,頑固,感情の制限,優柔不断によって特徴づけられます。

制縛性パーソナリティ障害(anancastic personality disorder)とも呼ばれます。

 

疫学

  1. 有病率は一般人口の1%,外来患者の3〜10%です。
  2. 女性より男性に有病率が高いです。
  3. 家族内発症があると思われます。
  4. 一卵性双生児の一致率は(二卵性より)高いです。
  5. 第一子に診断されることが多いです。

 

原因

厳しいしつけに特徴づけられる生活背景があるかもしれません。

 

精神力動論

  1. 典型的防衛機制として隔離,反動形成,打ち消し,知性化,合理化があります。
  2. 情緒への不信感があります。
  3. 反抗と服従の問題は心理学的に重要です。
  4. 肛門期への固着があります。

 

診断

強迫性パーソナリティ障害の患者は,硬直し礼節にこだわった物腰を示し,生真面目で自発性に欠けます。面接では,主導権を握れないことに不安を示すことがあり,質問への返答はふつうでないほどに細目にわたります。

患者は,慣例,規則,秩序正さ,整頓,詳細に気をとられています。対人技能に欠け,また,ユーモアのセンスを欠いたり,他人を避けたり,妥協の能力を欠いたりすることが多いです。しかし,患者は有力者を喜ばすことに身を投じ,有力者たちの望むところを権威的なやり方で行動に移します。

 

鑑別診断

強迫性障害では真の強迫症状がみられますが,強迫性パーソナリティ障害ではみられません。

 

経過と予後

この症状の経過はさまざまであり,予測ができません。患者は運用手順や細かい作業を求められる地位•場面で成功を収めることがあります。私生活は不毛なものとなりがちです。不安障害,うつ病性障害,身体表現性障害が合併することがあります。

 

治療

  1. 精神療法
    強迫性パーソナリティ障害の患者は自分が苦しんでいることを知っており,自ら治療を求めることが多いです。治療は長く複雑なものとなることが多く,逆転移の問題がよく起こります。患者は自由連想法や非指示的な治療に価値を見いだします。
  2. .薬物療法
    クロナゼパムが症状の軽減に有用です。強迫的徴候と強迫症状が出現するならば,クロミプラミンおよびセロトニン作動薬,例えば,fluoxetine60〜80mg/日が有効なことがあります。非定型抗精神病薬のクエチアピンが重症な症例では有用なことがあります。

 

 

診断基準

DSM-W-TR ICD-10
コード番号301.4
強迫性パーソナリティ障害
(obsessive-compulsive personali ty disorder)
コード番号F60.5
強迫性パーソナリティ障害
(Anankastic personality disorder)

秩序,完全主義,精神および対人 関係の統一性にとらわれ,柔軟性 ,開放性,効率性が犠牲にされる 広範な様式で,成人期早期までに 始まり,種々の状況で明らかになる 。以下のうち4つ(またはそれ以上) によって示される。

  1. .活動の主要点が見失われるま でに,細目,規則,一覧表,順序, 構成,または予定表にとらわれる。
  2. 課題の達成を妨げるような完全 主義を示す(例:自分自身の過度に 厳密な基準が満たされないという理 由で,1つの計画を完成させること ができない)。
  3. 娯楽や友人関係を犠牲にして まで仕事と生産性に過剰にのめり 込む(明白な経済的必要性では説 明されない)。
  4. 道徳,倫理,または価値観につ いての事柄に,過度に誠実で良心 的かつ融通がきかない(文化的また は宗教的同一化では説明されない 。
  5. 感傷的な意味のない物の集合で も,使い古した,または価値のない 物を捨てることができない。
  6. 他人が自分のやるやり方どおり に従わない限り,仕事を任せること ができない。または一緒に仕事をす ることができない。
  7. 自分のためにも他人のためにも ,けちなお金の使い方をする。お金 は将来の破局に備えて貯えておく べきものと思っている。
  8. 堅苦しさと頑固さを示す。

以下によって特徴づけられるパー ソナリティ障害

  1. 過度の疑いと警戒の感情。
  2. 細部,規則,目録,順序,構成 あるいは予定へのこだわり。
  3. 課題の終了を妨げる完全癖。
  4. 過度の誠実さ,几帳面さ,およ び娯楽や対人関係を排除するほど の生産性への不適切な没入。
  5. 社会的慣習に対して過度に杓子 定規で融通がきかないこと。
  6. 堅苦しさと強情さ。
  7. 他人が自分のやり方に正確に 従うよう強要すること,あるいは他 人がすることをしぶしぶ承認する こと。
  8. 執拗で嫌な思考あるいは衝動の 侵入。

 

<含>
強迫性(compulsive and obses sional )パーソナリティ(障害)
強迫性(obsessive-compulsive)パー ソナリティ障害

 

<除>
強迫性障害(F42.-)

【参考・引用文献】

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・パーソナリティ障害がわかる本 岡田尊司 2006 法研

・ ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 2009 医学書院

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