強迫的であるかにみえる反復的で、非機能的な運動行動。
反復的で、見たところ非機能的な行動が、少なくとも4週間持続し、通常の活動を阻害したり身体に損傷を与えたりします。よくみられる行動として、手を振る、頭突きをする、爪を噛む、鼻に指をいれる、抜毛するなどがあります。極端な場合、重篤な自傷行為や生命をおびやかすほどの外傷を負うこともあり、二次的な感染症や敗血症が外傷に続くこともあります。 精神遅滞をもつ児の10~20%が罹患します。女性よりも男性に多いです。
原 因
a. ドパミン活性の亢進と関係するようです。
b. 精神遅滞と盲によくみられます。
経過と予後
症状は悪化と改善を繰り返すため、持続期間と経過はさまざまです。小児期後期の発症か、あるいは常同運動が慰めにならない仕方で起こる場合には、症状はストレス下で生ずる短いエピソードから、精神遅滞や広汎性発達障害などの慢性的障害を背景にもつ継続的な様式にまで及びます。
治 療
- 行動療法
強化および行動形成などの技法が成功することもあります。 - 薬物療法
ドパミン拮抗薬とアヘン剤(opiate)拮抗薬は自傷行為を減らします。
fenfluramineは自閉性障害の患児の常同運動を減弱させることがあります。 クロミプラミンとfluoxetineは自傷行為および他の常同運動を減弱させることがあります。
チック障害との区別
チック障害では、苦痛を伴うことが多いです。
強迫性障害との区別
強迫性障害では、強迫行為は自我異和的でなければなりません。
診断基準
| DSM-W-TR | ICD-10 |
| コード番号307.3 (以前は常同症/性癖障害 formerly Stereotypy/Habit Disorder) |
コード番号F98.4 Stereotyped movement disorders |
◆該当すれば特定せよ 自傷行動を伴うもの:この行動によって特別な治療が必要となるような身体的損傷が起こる場合(または、予防手段を講じなければ身体的損傷が起こると思われる場合) |
随意的、反復的、常同的、非機能的(そしてしばしば律動的)な運動であるが、いかなる精神医学的あるいは神経学的な病態の部分症状として認められるものではない。このような運動が他の障害の症状であるならば、その障害全体だけをコードすべきである(すなわちF98.4は用いない)。 これらの運動には非自傷行為の以下のさまざまなものが含まれる。身体ゆすり、頭ゆすり、抜毛、指をはじく癖、手叩き(爪かみ、指しゃぶり、鼻ほじりは、適切な精神病理の指標ではなく、公衆保健上も分類するほどの重要性がないので、ここに含めるべきではない)。 常同的な自傷行為には、反復する頭打ち、顔叩き、目を突く、手、唇あるいは他の身体部分を噛むことが含まれる。 常同運動障害はすべて精神遅滞に伴って出現することが最も多く、この場合、両方の障害をコードすべきである。 目突きは視力障害の小児にとりわけよくみられる。しかしながら、視力障害で十分に説明できるものではなく、目突きと失明(あるいは部分失明)が同時に存在する場合は、いずれもコードすべきである。目突きはF98.4、視力の病態は適切な身体障害コードにコードする。 <除>異常不随意運動(R25.-) 器質的原因に基づく運動障害(G20-G26) 爪かみ、鼻ほじり、指しゃぶり(F98.8) 強迫性障害(F42.-) 抜毛症(F63.3) |
【参考・引用文献】
・DSM-W-TR精神疾患の分類と診断の手引 新訂版 高橋三郎他訳 2010 医学書院
・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル
・ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン
融道男他監訳 2009 医学書院
