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こころの病気のはなし > 専門編 >身体表現性障害

解離性健忘(Dissociative amnesia)

B子さんは数年前から頭痛、腹痛、めまいなど様々な症状に悩まされています。

痛みがあまりにつらく、仕事を休む日も少なくありません。

B子さんは何かの病気にかかっているのではないかと心配になり、病院で何度か検査を受けましたが、結果はいつも「異常なし」でした。

意識的に仮病を使っている可能性や薬物による影響も否定されるにもかかわらず、どんなに検査をしても、その身体症状を医学的に説明できないことがあります。こうした場合は、「身体表現性障害」が疑われます。

この障害の主な特徴は、本人が強く訴える疼痛や吐き気、めまいなどの身体症状に見合った結果を、身体的な検査で説明することができない点です。また、その身体症状は非常に苦痛であり、日常生活に支障をきたすほどのものです。こうした痛みは、身体的なものではなく、他者への怒りなど受け入れがたい感情が自分自身に向けられたことにより起きているとされています。

主な症状が頭痛、腹痛、めまい、吐き気など身体症状のために、一般診療を受診するケースが多いことから、心の問題を扱う医療機関以外においてもこの障害に対する理解を深め、的確に対応する事が求められています。

身体表現性障害は診断基準により、以下のような分類があります。

身体表現性障害の分類と診断基準

 

診断基準:身体化障害

DSM-W-TR ICD-10
コード番号 300.81
身体化障害
Somatization Disorderr
コード番号 F45
身体化障害
Somatization Disorder
  1. 30歳末満で始まった多数の身体的愁訴の病歴で、それは数年間にわたって持続しており、その結果治療を求め、または社会的、職業的 または他の重要な領域における機能の著しい障害を引き起こしている.
  2. 以下の基準の各々を満たしたことがなければならず、個々の症状は障害の経過中のいずれかの時点で生じている.
  1. 4つの疼痛症状:少なくとも4つの異なった部位ま たは機能に関連した疼痛の病歴(例:頭部、腹部、背部、関節、四肢、胸部、直腸、月経時、性交時、または排尿時)
  2. 2つの胃腸症状:疼痛以外の少なくとも2つの胃腸 症状の病歴(例:嘔気、鼓腸、妊娠時以外の嘔吐 下痢、数種類の食物への不耐性)
  3. 1つの性的症状:疼痛以外の少なくとも1つの性的 または生殖器症状の病歴(例:性的無関心、勃起 または射精機能不全、月経不順、月経過多、妊娠 中を通じての嘔吐)
  4. 1つの偽神経学的症状:疼痛に限らず、神経学的 疾患を示唆する少なくとも1つの症状または欠損の病歴(協調運動または平衡の障害、麻痺または部分的な脱 力、嚥下困難または喉の魂、失声、尿閉、幻覚、触覚または痛覚の消失、複視、盲聾、けいれん、などのような転換症状、記憶喪失などの解離症状、失神以外の 意識消失)

 

  1. 1.か2.のどちらか:
  1. 適切な検索を行っても、基準Bの個々の症状は、 既知の一般身体疾患または物質(例:乱用薬物 投薬)の直接的作用として十分説明できない。
  2. 関連する一般身体疾患がある場合、身体的愁訴 または結果として生じている社会的、職業的障害 が、既往歴、身体診察、または臨床検査所見から 予測されるものをはるかに越えている.
  1. 症状は、(虚偽性障害または詐病のように)意図的に作り出されたりねつ造されたりしたものではない.
  1. 少なくとも2年間に及ぶ多彩かつ易変的な身体症状の訴えが存在し、それを説明しうる身体的な障害が見出されないこと(身体的な障害の存在がはっきりしいても、症状の強さ・範囲・多様さ・持続、または症状にともなう社会的な機能障害を説明しえない)もし症状の中に自律神経刺激によることが明白なものがあったとしても、とくに持続性でも苦痛をともなうものではない点から、この障害の主症状とはならない。
  2. .症状へのこだわりは長く続く苦痛となり、相談あるいは通常の検査を求めてプライマリーケア医や専門医を繰り返し(3回以上)受診することになる。患者の、経済的あるいは物理的に手の届く範囲内で医療サービスが得られない場合には、持続的に自分で薬をのんだり地域の祈祷師を何度も訪れたりしていること
  3. 身体症状を説明するだけの身体的原因がないという医療者側の説明を、医学的検索の直後または数週間という短期間を除いては頑固に拒否すること(そうした再保証の短期間、つまり検査中あるいは検査直後の2〜3週間だけ説明を受け入れるような場合はこの診断を付してよい。)
  4. 次にあげる6項目のうち、少なくとも別々の2系統の症状群から、併せて6症状以上を見ること。
  • 消化器症状
    (1) 腹痛 (2)悪心 (3)膨満感やガス充満感 (4)口内苦味、舌苔の肥厚 (5)嘔吐または食物の逆流の訴え(6)腸蠕動運動亢進と低下または下痢の訴え
  • 循環器症状
    (7)安静時の息切れ (8)胸痛
  • 泌尿器症状
    (9)排尿困難または頻尿の訴え (10)生殖器内またはその周辺の不快感 (11)膣分泌液の異常または増加の訴え
  • 皮膚と疼痛症状

(12)皮膚のしみや変色の訴え (13)手足・上下肢・関節の痛み (14)不快なしびれやヒリヒリする感覚

  1. 主要な除外基準:精神分裂病とその関連疾患、気分(感情)障害、あるいはパニック障害の羅病期間中だけに起こっているものではないこと。

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診断基準:転換性障害

DSM-W-TR
コード番号 300.11
転換性障害
Conversion Disorder
  1. 神経疾患または他の一般身体疾患を示唆する、随意運動機能または感覚機能を損なう1つまたはそれ以上の症状または欠陥
  2. 症状または欠陥の始まりまたは悪化に先立って 葛藤や他のストレス因子が存在しており、心理的 要因が関連していると判断される.
  3. その症状または欠陥は(虚偽性障害または詐病のように)意図的に作り出されたりねつ造されたりしたものではない.
  4. その症状または欠陥は、適切な検索を行っても、一般身体疾患によっても、または物質の直接的な作用としても、または文化的に容認される行動または体験としても、十分に説明できない.
  5. その症状または欠陥は、著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域の機能における障害を引き起こしている、または医学的評価を受けるに値する.
  6. その症状または欠陥は、疼痛または性機能障害に限定されておらず、身体化障害の経過中にのみ起こってもおらず、他の精神疾患ではうまく説明されない.

症状または欠陥の病型を特定せよ:

  • 運動性の症状または欠陥を伴うもの:(例:協調運動または平衡の障害、麻痺または部分的脱力、嚥下困難または"喉の塊"、失声、三尿閉)
  • 感覚性の症状または欠陥を伴うもの(例:触覚または痛覚の消失、複視、盲、聾.幻覚)
  • 発作またはけいれんを伴うもの(自発運動性または感覚性要素を伴った発作またはけいれんを含む)
  • 混合性症状を示すもの:2つ以上のカテゴリーの症状が明らかな場合

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診断基準:心気症

DSM-W-TR ICD-10
コード番号 300.7
心気症
Hypochondriasis
コード番号 F45.2
心障害
Hypochondriacal Disorder
  1. 身体症状に対する患者の誤った解釈に基づき、自 分が重篤な病気にかかる恐怖、または病気にかかっているという観念へのとらわれ
  2. そのとらわれは、適切な医学的評価または保証にもかかわらず持続する
  3. 基準Aの確信は(妄想性障害、身体型のような)妄想的強固さがなく、(身体醜形障害のような)外見についての限られた心配に限定されていない
  4. そのとらわれは、臨床的に著しい苦痛または、社会的・職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
  5. 障害の持続期間は、少なくとも6カ月である
  6. そのとらわれは、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、大うつ病エピソード、分離不安、または他の身体表現性障害ではうまく説明されない
  1. 次の1., 2.のいずれかがあること。
  1. 少なくとも6ヶ月間持続する、2種類以上の重度な身体疾患があると頑固に確信していること(そのうち少なくとも1つは、患者自身が病名を特定していなければならない)
  2. 奇形や醜形ではないかという頑固なこだわり(醜形恐怖性障害)
  1. .確信や症状へのこだわりのため、患者は執拗に悩んで日常の仕事に支障をきたし、また医学的治療や検査(または地域の祈祷師による同様の援助)を求めることになる。
  2. 症状または身体の奇形を説明するに足りる、身体的原因がないという医療者側の説明を、医学的検査の直後または数週間という短期間を除いては頑固に拒否すること(そうした再保証の短期間、つまり検査中あるいは検査直後の2〜3週間だけ説明を受け入れるような場合はこの診断を付してよい)。
  3. 主要な除外基準:精神分裂病とその関連疾患、気分(感情)障害の羅病期間中だけに起こっているものではないこと。

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診断基準:身体醜形障害

DSM-W-TR ICD-10
コード番号 300.7
身体醜形障害
Body Dysmorphic Disorder
 
  1. 外見についての想像上の欠陥へのとらわれ。小さい身体的異常が存在する場合、その人の心配は著しく過剰である。
  2. そのとらわれは、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
  3. そのとらわれは、他の精神疾患ではうまく説明されない(例:神経性無食欲症の体型およびサイズへの不満)。

コード番号 F45.2心障害 Hypochondriacal Disorder 診断基準A(2)に含む

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診断基準:疼痛性障害

DSM-W-TR ICD-10

疼痛性障害
Pain disorder
コード番号 F45.4
持続性身体表現性疼痛障害
Persistent somatoform pain disorder
  1. 1つまたはそれ以上の解剖学的部位における疼痛が臨床像の中心を占めており、臨床的関与が妥当なほど重篤である。
  2. その疼痛は、陥床的に著しい苦痛または、社会的・職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
  3. 心理的要因が、疼痛の発症、重症度、悪化、または持続に重要な役割を果たしていると判断される
  4. その症状または欠陥は、(虚偽性障害または詐病のように)意図的につくりだされたり捏造されたりしたものではない。
  5. 疼痛は、気分障害、不安障害、精袖病性障害ではうまく説明されないし、性交疼痛症の基準を満たさない。

以下のようにコード番号をつけよ

  • 307.80心理的要因と関連した疼痛性障害:心理的要因が、疼痛の発症、重症度、悪化、持続に重要な役割を果たしていると判断される (一般身体疾患が存在している場合、疼痛の発症、重症度、悪化、または持続に重要な役割を果たしていない)。身体化障害の基準も満たしている場合には、この病型の疼痛性障害とは診断されない。
  • 該当すれば特定せよ 急性 持続期間が6ヶ月未満 慢性 持続期間が6ヶ月以上
  • 307.89心理的要因と一般身体疾患の両方に関連している疼痛性障害:心理的要因と一般身体疾患の両方が、疼痛の発症、重症度、悪化持続に重要な役割を果たしていると判断される。
  • 該当すれば特定せよ 急性 持続期間が6ヶ月未満 慢性 持続期間が6ヶ月以上
  • 一般身体疾患と関連した疼痛性障害:一般身体疾患が、疼痛の発症、重症度、悪化、持続に重要な役割を果していると判断される(心理的要因が存在している場合、それが疼痛の発症、重症度、悪化、または持続に重要な役割を果たしていない)。
  1. 持続性(少なくとも6ヶ月の間、ほとんど毎日のように続いて)で重度の不快な疼痛があり、身体の部位はどこであってもよい。痛みは生理的過程または身体的障害によって十分に説明のつくものでなく、常に患者の最大の関心の的であること。
  2. 主要な除外基準:精神分裂病とその関連疾患の存在下、あるいは気分(感情)障害や身体化障害、鑑別不能型身体表現性障害および心気障害の羅病期間中だけに起こっているものではないこと。

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診断基準:身体表現性自律神経機能不全

ICD-10
コード番号 45.3
身体表現性自律神経機能不全
Somatoform autonomic dysfunction
  1. 次の系統または器官のうち1つまたはそれ以上に、患者が身体疾患とみなす自律神経性の刺激による症状があること。
  2. 次の自律神経症状のうち、2項以上があること。 (1)動悸 (2)発汗(熱汗もしくは冷汗) (3)口渇 (4)紅潮 (心窩部の不快感、胃部のドキドキする感じ、胃をかきまわされる感じ
  3. 次の症状のうち、1項以上があること。
    (1)胸痛、前胸部およびその周囲の不快感 (2)呼吸困難、過呼吸 (3)軽度疲労時の過度の疲労 (4)空気嚥下症、胸部・心窩部の灼熱感 (5)腸蠕動亢進の自覚 (6)頻度、排尿困難 (7)むくんでいる、膨らんでいる、重苦しいという感じ
  4. 対象者がこだわっている系統や器官の構造や機能に障害があるという証拠を欠くこと。
  5. 主要な除外基準:恐怖症性障害またはパニック障害の存在下においてだけにみられるものではないこと。

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診断基準:鑑別不能型身体表現性障害

DSM-W-TR ICD-10
コード番号 300.81
鑑別不能型身体表現性障害
Unidifferentiated somatoform disorder
コード番号 F45.1
鑑別不能型身体表現性障害
Unidifferentiated somatoform disorder
  1. 1つまたはそれ以上の身体的愁訴(例:倦怠感、食欲減退、胃腸系または泌尿系の愁訴)
  2. 1., 2.のどちらか
  1. 適切な検察を行っても、その症状は、既知の一般身体疾患または物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的作用として十分に説明できない
  2. 関連する一般身体疾患がある場合、身体的愁訴または結果として生じている社会的・職業的障害が、既往歴、身体診察、または臨床検査所見から予測されるものをはるかに越えている
  1. 症状が、臨床的に著しい苦痛または、社会的・職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
  2. 障害の持続期間は、少なくとも6か月である
  3. その障害は、他の精神疾患(例:他の身体表現性障害、性障害、気分障害、不安障害、睡眠障害、または精神病性障害)ではうまく説明されない
  4. 症状は、(虚偽性障害または詐病のように)意図的につくりだされたり捏造されたりしたものではない
  1. 持続期間が6ヶ月以上である以外は、身体化障害の基準A・C・E項を満たすこと。
  2. 身体化障害の基準B項とD項のうち、いずれか一方、または双方を不完全にでも満たすこと。

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診断基準:他の身体表現性障害

DSM-W-TR ICD-10
コード番号 300.82
特定不能の身体表現性障害
Somatoform Disorders Not Otherwise Specifed
コード番号 F45.8
他の身体表現性障害
Other Somatoform Disorders

このカテゴリーは、どの特定の身体表現性障害の基 準も満たさない身体表現性の症状をもつ障害を含 む。その例をあげると、

  1. 想像妊娠:妊娠したという誤った確信で、客観的な 妊娠兆候を伴っており、それには、腹部の膨らみ、月経血の減少、無月経、胎動の主観的感覚、嘔吐、乳房の張りと乳汁分泌、出産予定日における陣痛があることもある。内分泌変化が存在している場合もあるが、その症候群は内分泌変化を起こす一般身体疾患(例:ホルモン分泌性腫瘍)によって説明できない。
  2. 持続期間が6ヶ月未満の非精神病性心気症状についての障害
  3. 持続期間が6ヶ月未満の説明できない身体的愁訴(例:疲労感または脱力感)についての障害で、他の精神疾患によらないもの。

この障害では、訴えられる愁訴は自律神経系を介さず、特定の系統または身体の一部たとえば皮膚に限定されていること。これは、身体化障害や鑑別不能型身体表現性障害とは対照的に、訴える症状や苦痛の原因が多彩であったり変化しやすかったりすることはない。組織損傷は含まれない。

身体障害に起因しないその他の知覚障害であり、スト レスフルな出来事や問題事と時期的に密接な関連が 認められ、あるいは結果的に個人的にであれ医学的 にであれ患者への注目度が著しく高まっているような ものはすべて、ここに分類されるべきである。

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