こころのはなし

こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
「こころの病」についての知識をはじめ、
バラエティに富んだ情報を提供するなど、
患者様はもちろんご家族など皆様との交流を目指すコーナーです。

こころの健康アラカルト No.421~430

No.430 非定形型うつ病について(1)・・・ 典型的なうつ病と異なる症状に注意

嫌いなことだと憂うつで全然気が進まないのに、好きなことならガラリと気分が明るくなって取り組める。 この症状が極端に1ヶ月以上続いたら”非定形型うつ病”の可能性があります。 一般的に知られているうつ病は、食欲低下や不眠など、常に憂うつな状況が続きます。非定形型の場合、食欲増加や過眠傾向になり、症状が異なります。さらに、イライラが増すため、対人関係が悪化する場合があります。 疾患になりやすい人の性格傾向は、責任感が強く几帳面な性格の人に多いとされいいるのが一般的ですが、非定形型では、人からどう見られているのかを気にして、無理をする傾向があります。 治療法は、薬物や行動療法を行っても、典型的なうつ病に比べて改善し難く治療が困難です。さらに、パーソナリティ障害など、ほかの障害と合併しやすいため、注意が必要です。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/18

No.429 ひがみっぽさがエスカレートしてしまうのは?

「誰かが自分の悪口を言っているように思う」「周りの人の行動が、いちいち自分へのあてつけのように感じる」 「何だか最近ひがみっぽいわよ、大丈夫?」なんて、お友達や家族から指摘されたことはありませんか? 疲れていたり、何かに失敗したり、そんな経験をした後は、何気ない周囲の人の行動やアドバイスを自分への当てつけ、非難のように感じてしまうというのはままあること。時間がたてば治るものです。 ただし、注意が必要なケースもあります。例えば、他人のヒソヒソ話を自分への悪口だと思い込んだり、理由はないのに周囲が自分をのけ者にしている、などと感じてしまう場合。時間とともにその思いがますます鮮明になるようなら、は後にうつ病や統合失調症、全般性不安障害など「こころ」の病気が潜んでいる恐れがあるんです。ひがみっぽさが続く上に、気分の落ち込みやめまい、頭痛、のぼせ、過呼吸、不眠等々の症状が伴えば、なるべく早くご相談下さいね。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/16

No.428 おいしく感じられない・・・味覚障害について

食欲の秋、おいしいものにおなかも心もいっぱい・・・のはずが、何か変。 どうして? 精神的に落ち込んだ状態が続き、何を食べてもおいしく感じられない場合、味覚障害の可能性があります。 口の中が粘つく、食べ物が味気なく砂をかむよう、どれも苦い感じがする、といった症状をよく聞きます。しかし、必ずしも心の病気が原因とは言い切れず、亜鉛の不足や舌痛症などほかの病気の場合も。まずは口腔外科などで診察を受けることをおすすめします。 心の病気が原因の場合は、どんな人に起こりやすいのでしょうか。 原因は人それぞれですが、特にうつ病の人に起こりやすいようです。また、不安や緊張が続いた場合、心のバランスを保てないサインとして表れることもあります。 治療法として、まずは原因の究明が大切。うつの症状が原因の場合は、抗うつ薬を服用して味覚が正常に戻ることも。極度の不安や緊張が原因なら、環境を調整することも必要です。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/11

No.427 ブルーマンデー症候群・・・リラックス法を上手に取り入れて

休み明けの月曜になると、朝からkだるく調子が悪い・・・。 それは、ブルーマンデー症候群の可能性がありますね。ではどのような症状なのでしょうか。 楽しく自由な休日が終わり、気の乗らない仕事や勉強が始まる休み明けになると、憂うつや頭痛など不調が現れやすくなります。午前中は不調でも、午後になれば徐々に回復します。このような軽い症状は、多くの人にあることで、特に心配はいりません。 遅刻や早退を繰り返したら注意が必要です。進行すると出社や登校が困難になり、引きこもりの原因になります。 予防策と言えば、いつもより調子が悪いと感じたら、残業を控え、休日はゆっくり休息を取るなど、心と体をリラックスさせましょう。また、勤務中に簡単なストレッチで気分転換をしたり、心が健康なら「私は元気です。」などを唱えると不思議と元気が出ることもあります。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/09/20

No.426  携帯やコンピューターゲームにはまる人たちは、依存症?(その4))

この記事は、こちらからの続きです。 個人ゲームとネットワークゲームは、少し違うということですが。 個人ゲームはゲームそのものが目的です。相手はコンピューターだけで、他人とのやりとりはありません。ある程度時間をかければ、必ず得点が上がり、達成感が得られやすく高揚感を感じることができます。この高揚感はパチンコやスロットマシーンと基本的には同類です。 一方、ネットワークゲームは、相手がいる分違う世界を作り出します。通常のおしゃべりの要素が入り、ネットを通じて、人と出会うという利点があります。コミュニティサイトや、オフ会などがあり、昔の雀荘に似ています。対人交流という点では少しはいい。 では、ネットワークゲームは、問題がないのでしょうか? 程度が問題で、ネットワークゲームにはまると、昼夜逆転を引き起こす人が少なくありません。日常の社会生活で孤立し、疎外感を持つ人が、ネットワークゲームにとりつかれると、仲間ができたと思ってしまいます。そのような人たちが、深夜長時間ゲームを続けると、結局は実際の社会活動から疎遠になり、現実でのコミュニケーションが持てないという悪循環に陥ります。賞賛や適応も、あくまで仮想空間の中だけで、現実の生活自体に寄与することはなく、ゲームをたくさんこなしても、現実社会での問題や困難に対する対応力は向上しません。これが最大の問題です。 この記事はさらにこちらに続きます。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/09

No.425 何をするにも実感がない。この感覚は何?

こんな症状に思い当たりませんか?   「ガラス越しにものをみているような感覚」   「自分の体が自分のものでないような気持ち」   「まるで夢の中を生きているような気持ち」 仕事や家事で夜更かししたり睡眠不足だったりした翌日は、風景がお芝居の書割のように白々しく見えたりすることはありませんか?何となく現実感に乏しいこの感覚、実は離人症状と」いって、様々な「こころ」の病気に伴い現れる症状の一つなんです。 「エッ、じゃあ私は病気なの?」なんて心配はいりません。健康な人でも過労、寝不足の場合等には体験しがちな感覚です。でも、これがまるでスリガラス越しに風景が見えるように感じたり、自分の体をロボットのように感じてしまう、という場合は治療が必要な状態。うつ病や統合失調症、解離性障害等といった「こころ」の病気が隠れている恐れがあるのです。 もし離人症状を自覚して、なおかつ何となく不安を感じたり、頭痛、めまい、胃痛などの症状がとまおなえば、こじらせないうつに早めにご相談下さいね。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/09

No.424 朝刊を読めなくなってませんか

今まで朝刊を読むのが日課だったけれど、「最近なんとなくおっくうだ」、「読みたくないな」と思うことはありませんか。 最近暗いニュースが多く、朝からそんな記事を見ると精神衛生上悪いと読まなくなったり、暗い気分になるよりジョギングで気持ちよく汗を流した方がよいと習慣が変わったという人もいるでしょう。また、仕事が忙し過ぎて帰宅が遅く、朝新聞を読む時間がないなど生活環境に問題がある場合もあります。 しかし、心当たりが何もない場合、心の病気が関係していることがあります。うつ病では、今まであったことに興味や関心が持てなくなったり、ぐっすり眠れた実感がない、朝起きるまでに何度も目が覚めるなど、睡眠障害が合併し睡眠の質が低下して朝集中力がなくなったり具合が悪くなることがあります。また、統合失調症により、昼夜のリズムが崩れることが原因の場合もあります。さらに、朝ひげを剃らない、顔を洗わないなど身だしなみに気を使わなくなったりと、ほかの事までできなくなる場合は注意が必要です。 気持ちよい朝を迎えるためにも、気になる方は専門科を受診してはいかがでしょう。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/09

No.423 精神病なら人を殺しても無罪だなんて!

殺人を犯しても「精神病で責任能力がない」とされ罪を問われないケースがありますね。 事件が大きいと報道も大きいですが、実際には、精神疾患の患者さんと健常な人とで犯罪を犯す率に変わりありません。むしろ、病気が重ければ動くのも辛くなり、人殺しのような大きなエネルギーは出せないものです。 また、「罪を免れた」と受け取られやすいですが、病気だと診断されれば刑務所の代わりに病院に行くことになり、隔離病棟では監視下に置かれて自由はありません。退院しても刑務所を出所した人と同様に、あるいはそれ以上に世間の目は冷たい。暮しづらくて再犯を犯しやすく、精神病への偏見がさらに犯罪を生むと言えます。 重大な事態にならないよう、必要な時は早めに入院治療されるのがよいと思います。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/03

No.422 意味のないルールに縛られてしまう時

「戸締りを何度も確かめなくては気が済まない」「玄関まで決まった歩数で歩けなければやり直す」「床のものを拾ったあと、感染症を恐れて長時間手を洗う」 夜寝る前、2度3度と玄関やドアの鍵を確かめないと安心できない。そんな経験はありませんか? 「そんなの1度確かめれば済むじゃない」と自分では分かっていてもやはり確かめなければ気が済まない・・・これは、早めに治しておきたい脅迫症状の一つです。他にも、特定の数字を目にすると次にその数字が出てくるまで本をめくり続けてしまう、道の境目を通る時は3回以上行ったり来たりしてしまう等のケースもそうですね。こういった脅迫症状を引き起こす原因としては、強迫性障害や統合失調症、発達障害、うつ病はじめ様々な「こころ」の病気が考えられます。しかも症状の程度や時期により、個々に応じて非常に慎重な対処が求められるものなのです。 ネットや専門書での自家対処で症状をこじらせてしまうと大変。必ず専門医で適切な診断を受けて下さいね。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/02

No.421 ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/02

最近、おじいちゃんやおばあちゃんの元気がなく、心配になることはありませんか。 高齢になると、長年連れ添った配偶者に先立たれてしまったり、収入がなくなるなど、喪失感や先行きの不安から元気を無くしたり落ち込んでしまう人も多いようです。また、思うように動けなくなったり、体の不調や若さが失われていくことに対しての不安など心にさまざまな負荷がかかり、家族が気付かないうちにうつ病を発症してしまうことがあります。 また、認知症から抑うつ状態になったり、脳梗塞や心臓病などの病気からも、うつ病を発症してしまうことがあります。しかし体の病気ばかりが気になってしまい、心の病気が見過ごされてしまうことが多いようです。病気を苦にして自殺を考える人の中には、心の病気が合併しているケースもあるので、きちんと原因を見極め体と心の両面からの対応が必要になります。 高齢の方は心療内科に足を運ぶことに抵抗を感じる場合も多いので、家族や周囲の理解や説得が大切になります。また、元気がないのは「年のせいだから」「体の調子が悪いから」と片付けてしまわずに、早めに専門科を受診してみてはいかがでしょう。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 08/10/02