こころのはなし

こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
「こころの病」についての知識をはじめ、
バラエティに富んだ情報を提供するなど、
患者様はもちろんご家族など皆様との交流を目指すコーナーです。

こころの健康アラカルト No.471~480

No.480 携帯メールに依存しすぎていませんか

子どもから年配の方まで携帯電話を持つ時代。待ち合わせに遅れそうになった時、連絡が取れたり、相手が電話に出られないときでもメールで用件を伝えられるので、とても便利ですよね。
しかし、全てにすぐ返信しなければいけないと感じていたり、相手から返信がないと落ち着かなかったり、不機嫌になってしまうことはありませんか。例えば、仕事中で相手が返信できないと分かっていても、返信がないと怒りだしてしまう人もいるそうです。また、返信がないと自分が嫌われている、不愉快に思われているのではと、悩んだり自分を責めてしまったり、寝る時もメールが気になり、携帯を枕元に置いていて、睡眠不足になってしまう人もいます。
携帯電話に慣れていない高校生の頃には、多く見られますが、だんだん落ち着いてきます。しかし、いつまでも携帯に過剰に反応したり、物事の優先順位をつけられず、併せて息苦しい、腹痛、寝付きが悪い、ふらつきなど他の症状がみられる場合、うつ病や不安障害など心の病気が関係していることがあります。 日常生活に支障をきたす場合もあるので、もしかしたらと思う方は、専門科に相談してはいかがでしょうか。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/19

No.479 人前で顔が赤くなってしまうと悩んではいませんか

これから、入学や入社を控え、新しい出会いや生活を楽しみにしている人も多いでしょう。 しかし、人前に出ると顔が赤くなってしまうので、不安を感じてはいませんか。 恥ずかしい事を言われたり、失敗で顔が赤面してしまうことは普通に起こりますよね。
しかし、何人かの前で発表したり大勢での食事の際などに赤面してしまい、息苦しくなったり、頭が真っ白になり自分で何を話しているのか分からなくなるような状況は注意が必要かもしれません。またなるのでは、と心配になりその場を避けるようになると社会不安障害の可能性もあります。
子どもの頃は引っ込み思案や恥ずかしがりなど性格だからと症状が見逃され、大人になってからサークルのミーティングや会社でのプレゼンテーションなど、避けられない場面に遭遇し表面化することがあります。症状を放置しておくと、子どもの不登校や、大人では社会生活が円滑にいかなくなるケースも見られます。 心の病気が改善されると、引っ込み思案と思われていた子供が学級委員になり、リーダー的存在に変身したり、その後の生活が変わってきます。 一人で悩んだり、あがり症と諦めている方は、一度専門科に相談してはいかがでしょう。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/12

No.478 「こころ」の不調?・・・吐き気がきになる

「原因不明の嘔吐感につきまとわれている」
「吐き気だけでなく、動悸や息切れ、ふらつき、頭痛などが一緒に伴う」
この季節、ちょっとした吐き気を覚えると、「風邪かしら、食あたりかも」と心配される方が少なくないかもしれませんね。
とはいえこの嘔吐感、先の2つの病気に限らず、様々な病気の症状として現われてくるものです。胃潰瘍や慢性胃炎といった体の病気はもちろん、慢性的なストレスが自律神経を乱し、これが原因となって引き起こされるような嘔吐感もあるのです。
例えばパニック障害、空間恐怖、社会不安障害、うつ病、全般性不安障害等々、自律神経の障害を伴ういろいろな「こころ」の病気には吐き気の症状が見られます。ですから内科等で出されたお薬を服用してもあまり改善が見られなかったり、嘔吐感に加えて動機や息苦しさ、発汗、めまい、頭痛などを伴うような場合には、「こころ」の病気を疑ってみる必要もあるのです。その時は早目にご相談下さいね。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/12

No.477 買い物がやめられない・・・買物依存症(3)

やめなければいけないとわかっていながら、ついつい買ってしまう事を繰り返す買物依存症。ただ、買い物依存症単体の症状で困って受診、というケースは少なく、他の病気や悩みなど、心の問題を抱えている方の一つの症状である場合が多く見られます。
症状が「買い物症候群」という形で現れた場合は、どのような取り組みをすれば良いでしょうか。
まず、本人の気づいていない心理的葛藤をカウンセリングで探ります。女性の場合、ご主人、同居の姑、近所とのコミュニケーションの問題、子育てに関わる悩み、など、家庭に関することで満たされていないと感じる思いや、不安が持続されていることなどが、依存症の背景として浮かび上がることが多くあります。男性でサラリーマンの場合には、会社でのことが基本にあるというのと同じです。 その問題の程度にもよりますが、軽症の場合は、カウンセリングで、もしくは薬物療法をプラスして、改善される場合もあります。そのような取り組みの中で、買物依存は自然と消えていくことも少なくありません。 中等以上の場合は、つまり、買っても買っても充足感を得られないのに、それでもやめられないというケースです。この場合はカウンセリング、薬物療法、そして自助グループによる活動を通して治療をすすめていきます。まずはご相談を。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/12

No.476 女性に多い「買い物依存症」とは

買い物したまま開けていない箱が部屋にいっぱいある・・・。 買い物依存症は、生活習慣病の一つなので、環境によって気がつかないことも多くあります。買い物をするために、クレジットの利用可能額がいっぱいになるまで使う、金融機関に借りる、子どもの預金を借りる、生活費の前借をするなど“コントロールの喪失”状態まで行くと、買い物依存症といえるかもしれません。 それでは、どんな人がかかりやすいのでしょうか。気晴らしが買い物に限定されている人、アルコールに依存している人、家族関係がうまくいっておらず孤立している人などが、かかりやすい傾向にあります。買い物をして“苦しい”と感じたり“後悔”するようであれば、一人で抱え込まず、早めに専門家に相談を。話を聞いてくれる人ができるので問題点を改善できるかもしれません。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/07

No.475 強迫性障害について・・・何度も確認しないと気が済まない

不快な感覚を解消するため、確認や手洗いなど、特定した行動を異常なまでに繰り返す“強迫性障害”についてお話しましょう。
うつ病や躁うつ病、摂食障害など、心の病と合併して表れることが少なくありません。症状が習慣化しながらエスカレートする場合があるため、日常生活に支障をきたす恐れがあります。 例えば、文章の総画数にこだわりを持つ人の場合、確認しながら何度も書き直しを行うため、作業効率がとても悪化していました。強迫行為はさまざまあり、行動の異常さを自覚できても止められず、葛藤(かっとう)に悩むケースもあります。
治療方法は、合併症の有無により治療が異なるため、細かな診断が大切です。強迫行為は無意味だと自分で納得できるようにする認知行動療法とともに投薬を行います。自己判断で無理に行動を止めようとしても、抑圧状態が続き心の状態が悪化することがあります。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/07

No.474 合否で子の価値を図らない

受験を迎える子の保護者の心得とは? 志望校は、自分ではなかなか決められない子も多いものです。でもそこで親が決めてしまうのはNG。
万が一、失敗した場合“失敗してしまった”“親の期待に応えられなかった”という二重の傷を負うことになります。また、合格できたとしても、環境が自分に合わなかった場合“親が行けと言った”と親のせいにしたり、心のバランスが崩れて適応障害が発症してしまう場合もあります。大事なのは志望校は自分で決めさせること。そして失敗した場合は、安易に慰めずそっとしておくこと。 本人の価値が下がるわけではないことを示すのも大切ですね。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/01/31

No.473 受験生の心のケア

受験シーズン真っ只中。結果がどうあれ、大きな試練のあとは不安定になるものです。 不満足な結果に落胆し、「お母さんのせいで落ちた」と親を責める子もいます。ショックを受けとめるには幼すぎるだけなので、激しく反論せず黙って聞いてあげましょう。部屋にこもる・泣く・怒鳴るなどは普通なので見守って。
ただし、言葉でなく暴力の場合はご相談下さい。また、親も意外と深く傷ついていることがあるので、慰めの言葉はほどほどに。励ますつもりが説教に変わると逆効果・・・ 子への変わらぬ信頼を、言葉と態度の両方で示すことが何より大切です。
合格した子が虚脱感に襲われるケースも。食欲不振・疲労感などふさぐ状態が2週間以上続いたら要注意。うつ病発症のサインかもしれません。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/06

No.472 TVの音や話し声を不快に感じませんか

私達はさまざまな音に囲まれて暮らしていますよね。そんな日常生活から出る音を、不快に感じることはありませんか。周囲の人に聞いてみても、あまり気にならないという場合は「聴覚過敏」の可能性があります。
例えば、子供が見ているTVの音量が気になり「うるさいと」怒鳴ったり、難しい公式を解いている受験生が、家族が観ているTVの音をうるさく感じることがありますよね。このような場合、疲労、過労、睡眠不足が原因だっり、集中しようとしていることにより、普段は気にならない音を不快に感じたりします。
また、気落ちしているときに、笑い声が聞こえると不快に感じるように、状況的に理解ができる場合は問題はありません。 しかし、特に理由もなくTVの音や人の話し声が気になる場合は、不安障害やうつ病などが背景にあり、併せて、だるい、疲れやすい、倦怠感、食欲不振、動悸などの症状があらわれるようです。心の病気により、音が気になってイライラが長期化すると、家事ができなくなったり、仕事上のミスが多くなったり、会社や学校を休みがちになることがあります。 周囲には理解されにくいので、気になる方は専門科を受診してみてはいかがでしょう。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/05

No.471 トイレが気になって外出するのが怖い時

「自宅以外のトイレには行けない」
「トイレがないバス、電車には心配で乗れない」
「デパートのトイレに並ぶことができない」
こんな症状、思い当たりませんか?
春の行楽や遠出のプラン作りに、そろそろ気持も弾む季節。ところがうかぬ顔の方もちらほら見受けられます。「実はトイレの事が心配で・・・」。そんな悩み、抱えてはいませんか? トイレの心配が頭から離れなくて、外出するのが怖いとさえ感じてしまうような場合は、何らかの「こころ」の病気も疑われます。
例えば、レストランやデパート内などの公共トイレに並べない、入るのが恥ずかしいと感じるような気持ちの背景には、ソーシャルプラダーと呼ばれる一種の社会不安障害が隠れていることもありますし、トイレのない電車やバスに乗るのが怖いと感じるようなケースでは、空間恐怖を伴うパニック障害等が疑われる場合もあります。 いずれも、お薬と行動療法でほとんど改善しますので、もし心当たりがあれば、こじらせないうちに早目に専門医にご相談下さいね。。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 09/02/05