こころのはなし
こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
「こころの病」についての知識をはじめ、
バラエティに富んだ情報を提供するなど、
患者様はもちろんご家族など皆様との交流を目指すコーナーです。
こころの健康アラカルト No.771~780
- No.780 誰にも嫌われたくない
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嫌われたくなくて、誰にでも良い顔をしてしまいます。その分、精神的な疲れが溜まりとても辛い。
この状況は、周りの人と良い関係を築かなければならない、そう常に思っている人に見られることがあります。そのため、一見すると社交的な人が多いのも特徴です。 敵対する人と仲良くしようとすることは、大きな労力をともなうものです。そのため、ストレスが溜まり最終的に相手との関係がこじれると、心理的な影響が大きく、心の病気につながる可能性もあります。
人間関係で疲れがたまり、日々、辛いと感じるようであれば黄色信号。次第に徒労感、絶望感が強くなり、人との付き合いに自信がなくなり不安を覚えるようになる。そうなると、自律神経の異常や目まい、不眠など身体的な症状が表れる可能性があります。
心理的な辛さが問題の場合は、カウンセリングなどにより改善を図ります。辛さを感じてしまう行動基準が、その人に内在化しているので、その基準をカウンセリングによって、辛いと感じないような適応性のあるものにしていくのです。
身体的な症状が出ているようであれば、薬など他の治療が必要になると考えられます。 まず原則は、「自分と波長が合わない」と思う人とは、できれば無理にあわせないことです 。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/30
- No.779 子どもが好きになれない
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「自分の子どもがどうしても好きになれません。心の問題と関係はありますか。」こんな質問を受けました。
子どもに対する感情は、昔から人生の悩みの一つとして知られています。例えば、長男と次男に対して親の思い入れに偏りが生じるなどがその一例です。 このような状況には、様々な背景があり一概には言えませんが、要因が親、あるいは子ども、またはそのいずれもという場合があります。 母親がうつ病的な状態の時に生まれた子どもに対しては「好きになれない」というケースがあります。また、子どもが自分にとって苦手な性格である場合も同じです。これは、母親の好みの問題と言えるでしょう。その他、不安が強い親の場合も、同様の可能性があります。
子どもに要因がある場合には、多動障害や注意欠陥障害、発達障害、また怒りっぽいなどパーソナリティーの障害によって、親が手に負えなくなり、自分の子どもを好きになれないという状況が発生する可能性があります。
親と子どもがともに健康であれば、それほど大きな問題にはならないと考えられますが、子どもに対する感情でとても悩んでいるようであれば、専門医への相談をお勧めします。 親子の気質的不一致であれば、カウンセリングなどをすることで、改善する可能性もあります。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/23
- No.778「子どものうつ病」に対する家族の接し方
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子どものうつ病についての2回目です。家族の接し方は、こどもがうつ病の場合、学校に行けなくなることが多くあります。その場合、無理に背中を押して登校を促してはいけません。ただ、うつ病かどうかはっきりしない場合は、背中を押してあげるとそれほど抵抗なく動くことも。診断に関しては、状況判断も必要なので、まずは専門家への相談をおすすめします。
気をつけることは、うつ病だと判断された場合、カウンセリングだけでなく投薬による治療も大事。子どもは薬が苦手な人が多いですが、薬を嫌がらずにきちんと飲ませることで治る可能性は高くなります。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/23
- No.777 男子と女子で違う「子どものうつ病」
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子どものうつ病について2回にわたりお話ししましょう。 子どものうつ病は、大人に比べると少なく、小学生の2~4%といわれています。子どもからのサインは、男子と女子で違います。女子の場合は、ゆううつ、落ち込んでいるなどの感情を言葉で表現できるので、お母さんとの話の中で直接的に把握できることが多いものです。それと比較して男子は、言葉で伝えることが苦手。家族が何かいつもと様子が違うな、と感じて聞いても“よく分からない”としか言えなかったりします。
男子の場合、気をつけてあげることは、学校から帰っても家でごろごろしてばかり、朝起きて来ない、ダルそう・・・といった様子が見られたり、イライラしがちで怒りっぽくなったら注意してください。 具体的な行動は表れるかというと女子は口ゲンカをして部屋にかけこむぐらいなら特に心配はありませんが、泣き叫ぶ、物を壊すといった行動が出てきたら注意を。男子は、部屋の壁にボールをぶつけるなど、感情を一人で処理していたり、キレやすい程度なら問題ありません。ただ、親に暴力をふるい始めたら危険信号。専門医に相談を。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/16
- No.776 物の片付けができません
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「物の片付けができません。家の中がぐちゃぐちゃでひどい状態です。これは心の病気が関係しているのでしょうか。」こんな質問がありました。 心の病気が背景にある可能性があります。ご質問のような状況で疑われる病気として、第一に挙げられるのがうつ病性のものです。 仕事でエネルギーを使い果たし、帰宅後は疲れて何もできなくなってしまうという症状は一例と考えられます。 また、統合失調症や強迫性障害も多く見られます。前者の場合、身の回りを清潔に保つことに関心がなくなってしまいます。後者は、物を埋め込むタイプで、心配で物が捨てられないなどの症状があります。
疾患者は少ないですが、「注意欠陥障害(ADD)」という病気もあります。例えば、部屋の片づけをしていて、懐かしい写真を見つけ思いふけり、片付けが持続できなくなる。集中力が持続しない状態です。忘れ物や宿題忘れなどが多く、なかなか治らないような子どもも、この病気が疑われます。 いずれの病気も診断を受けることで改善の可能性があるとともに、片付け支援等の社会的なサポートを活用できる場合もあります。 食物が腐りやすく、虫も発生しやすいこれからの季節、物が片づけられないようであれば、恥ずかしがらずに専門医に相談することをお勧めします。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/16
- No.775 人間関係にも影響が出る「更年期障害」
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女性なら誰もが気になる「更年期障害」についてお話しします。
更年期障害は、卵巣が十分にホルモンを作ることができなくなっているのに、脳下垂体が卵巣を刺激するホルモンを多く分泌し続けるため女性ホルモンのバランスが乱れて起こる障害です。 では、女性なら誰もが発症の可能性があるのでしょうか。 いいえ、女性の病気として認知度の高い障害ですが、発症の確率はそれほど高くありません。脳下垂体の分泌量は体質によるもので、血液検査で判別できます。
症状は、ホットフ・ラッシュと呼ばれる、自律神経の働きが乱れておこるのぼせが特徴的です。そのほか動悸、発汗、不安感など。治療は主に、ホルモン補充療法を行いますが、効かないときにはカウンセリングのほか、抗不安薬などを用います。
放っておくと、本人のストレスの原因になるだけでなく、人間関係にも影響が生じます。怒りっぽくなる症状が表れれば、しゅうち周囲との摩擦が生まれることも。生活に影響がでる前に、早めの治療が大切です。
若年性更年期障害もあると言われますが、35歳未満の人に起こる場合もあります。日ごろの生活の中でストレスの原因を減らすことが予防策としては重要です。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/09
- No.774 「老老介護」で苦しい
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「いわゆる『老老介護』で、身体的にも精神的にもとても苦しい。楽になるような方法はありますか。」こんな質問がありました。 現在の社会状況から、80代の親を60代の子どもが介護する、または90代の夫を80代の妻が介護するなど、様々な、“老老介護”のケースがあり、人口動態から今後、増加していくことが予想されます。介護の受け手が認知症などであれば、負担はもっと大きくなります。また、経済的にも大きな問題です。 そのような問題が複雑に絡み合い、介護を受ける高齢者が「他人の手を煩わせたくない」と思い、自殺するケースも増えています。 この「老老介護」の負担を軽くするには、まずは介護保険適用を検討することです。介護事業者のスタッフは、同制度発足時より技術的に進歩し、質も高くなっています。 同制度を活用するには、介護認定が必要になりますが、その申請をするにあたり、身体的症状だけで判断してはいけません。 認知症やうつ病、不安障害などの精神疾患が疑われる場合、また、攻撃的であったり被害妄想が強いなど認知症の周辺症状が表れている場合は、心療内科や精神科などに相談すると、保険適用がなされる可能性も高まります。また、介護の受け手も心理的なサポートを得ることで、症状が軽くなることも期待できます。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/09
- No.773 買い物依存症
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買い物をして気分がスッキリ。誰でも思い当たる経験でしょう。
が、買い物依存症になると不要な物まで購入し、借金をしても買い続け、自己破産することも。買う行為が大好きで物には興味がないので、家にはブランド物が使われることなく放置されています。 高級店で優雅に買い物をするのは、浪費というリスクを伴うこともあり、興奮する瞬間です。日常の不満やストレス解消につながり、やめられなくなります。同じ刺激では慣れてしまうため、より興奮を得ようと徐々に頻度や金額が増えていきます。
原因は、(1)買い物好きがエスカレート (2)睡眠不全などでストレス解消できない (3)娯楽・趣味が少ない (4)軽い抑うつ状態 (5)軽い不安。 背景となる病気を見きわめ適切に治療するため、早めの受診が望ましいです。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/01
- No.772 仕事後のお酒がやめられません
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「仕事の後のお酒がやめられません。とてもリラックスできるのですが、日毎に飲酒量が増えています。これは問題でしょうか。」こんな質問がありました。 お酒を飲まないとリラックスできないという状況は、黄色信号と考えられます。 お酒なしでは気分の切り替えができない、つまり何らかの障害のサインととらえるべきです。 アルコールは、不安や苛立ち、落ち込みなどを抑える薬効がとても強いもの。 また、アルコールは「リーガルドラッグ」と言われ、得てして摂取量は増加しがち。お酒の習慣化は、薬がないと生活できない状況だということを、認識する必要があります。また、これが必要ということは、心の病気など、何らかの背景がある場合があります。
その背景を解決すれば、アルコールへの依存を止める助けになる可能性があります。依存症が成立している場合は、コントロールできなくなっているケースもありますので、飲酒量は増える場合も多いです。飲酒は、脳にも多大な影響を与えることは知られており、他の病気との合併も危惧されます。このような状況であれば、まずは専門医への相談をお勧めします。 アルコール依存症は、予備軍が多いといえる病気です。厚生労働省は、適正飲酒を、日本酒換算で一合以内、週2日の休肝日を設けることとしています。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/07/02
- No.771 物欲が止まりません
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「物欲が止まりません。たくさん買い物をすることで安心するのですが、これは『こころ』の病気と関係があるのでしょうか。」こんな質問がありました。 買い物依存症の可能性があります。背景として考えられる心の病気には、躁うつ病とパーソナリティ障害、統合失調症の3つが主なものと考えられます。 躁うつ病では、躁状態で見られる行為で、欲望をコントロールできず、不要なものまで購入してしまい、浪費につながるケース。
パーソナリティ障害の場合、手首を切ったり、高所からの飛び降りなどの自傷行為の一つと考えられます。興奮状態であり、物を必要以上に購入してしまうのです。 統合失調症では、気持ちが誇大的になり、衝動の統制が難しく、買い物依存が発生します。これらの他に、広汎性発達障害や症状性精神障害などでも同様の症例が見られます。 背景にこれらの心の疾患のない場合では、シンプルに依存症といえます。依存症には、物質とプロセスの2通りがあり、前者はアルコールや麻薬など、後者は窃盗や過食をはじめ、買い物も含まれます。買い物をすることでストレス解消になるのです。 これ自体は自然なことですが、買い物を繰り返すことで耐性ができ、心地よさを得るためにエスカレートしてしまうと危険。多額のキャッシングなどをしてしまう前に、専門医に相談することをお勧めします。ハートクリニック院長 浅井逸郎 11/06/25