こころのはなし

こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
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専門編 パニック障害について

パニック障害の治療

パニック障害の治療は、(1)急性期(約3ヶ月間)(2)安定化・継続期(維持療法期・約2年間)(3)治療終結期(約数週~数ヶ月)の3つの時期により治療戦略が異なります(表-6.)。 パニック発作が頻発している急性期治療の基本は、発作の再発を極力防止する事です。その為にこの時期の治療は心理的療法より薬物療法の方に重点が置かれます(うつの合併予防の観点からも重要です)。また、精神療法(医師によりカウンセリング)においては、疾患や症状についての調査や教育を通じて、次の安定化・継続期における広場恐怖の治療に対する対策や準備をしておきます。また補助的療法としてリラグゼーション法などを取り入れる事により、発作の緩和に自ら積極的に関わっていく経験を積んでいきます。 次に、安定化・継続期(維持療法期)になると、回避行動(広場恐怖)が治療の主目標となり、薬物療法の継続と供に認知行動療法(エクスポージャー法を中心とする)が治療の柱になります。この様に広場恐怖の克服を通じて徐々に通常の生活・行動パターンの回復を図っていくのです。また、一部の患者で症状限定発作(軽いパニック発作)が散発的に出現する事があり、さらなる薬物調整などを通じて発作の完全な消失を図っていきます。   最後の治療終結期には、徐々に薬物を減量し治療の終結を目指していきます(図-6.)。 全期間を通じて言える事は、「パニック障害は慢性疾患であり、経過も患者によって大きく異なり、症状の改善にも波がある」という事です。従って一時的な症状の悪化や治療期間が予想以上に長引いた事に対して一喜一憂しない事が大切です。また、治療終結する時には、再発を早期にとらえられる準備をし、早急に治療を再開できるように主治医から十分情報を与えられます。。