こころのはなし
こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
「こころの病」についての知識をはじめ、
バラエティに富んだ情報を提供するなど、
患者様はもちろんご家族など皆様との交流を目指すコーナーです。
こころの健康アラカルト No.231~240
- No.240 電車やバスに怖くて乗れない、そんなことありませんか
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「電車やバスに乗ると動悸が激しくなり、冷や汗がでたりめまいがして、このまま死んでしまうのではないか・・・」そんな恐怖に襲われたことはありませんか? また「トイレがない場所で尿意をもよおしてしまう」などの悩みはありませんか? 家にいるときはこのような症状は全く起こらないのに・・・。こんな症状が続く場合「パニック発作」の疑いがあるかもしれません。 一度こういった経験をしてしまうと、「二度とあんな思いはしたくない」と電車やバスなどを避けるようになってしまいますよね。次第に外出が怖くなり、家に引きこもりがちに。そして、会社を辞めてしまったり、日常生活や社会生活が営めなくなってしまう人もいると言います。さらには適切な処置を受けないで放置してしまうと、鬱病を発症してしまうことも。 子どもが学校に行きたがらない場合、家から外に出られない恐怖から教室にいけなくなってしまう「空間恐怖」と呼ばれる症状の可能性もあるそう、親が通院していて、もしかしたら子どもも・・・と気づき一緒に通院している例もあります。不安を恐怖を抱えた毎日から抜け出して、快適な日常生活を送るためにも専門家への受診は早い方がよいですね。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/06/28
- No.239「眠り」の悩み、解決するには?
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「夜ー寝た気がしません。夜中にうなされてたと家族に良く言われるのですが」こんな相談がありました。 ぐっすり眠りたいのに眠れない、眠ったはずなのに疲れている等、睡眠障害は様々な症状を伴って現れます。例えばなかなか眠れない入眠障害、目が覚めて眠ってはいるが熟睡感のない熟眠障害等の他、睡眠中に起き上がって歩き回る夢中遊行症、寝ていて突然叫び声をあげたりする夜驚症等もそれに含まれます。これらは全て睡眠時の症状ですが、背後には往々にして心の問題が潜んでいるという事に注意しなければなりません。 例えば入眠障害は、適応障害や神経症で多く見られ、熟眠障害や中途覚醒はうつ病、統合失調症、アルコール依存症等で、早朝覚醒はうつ病で、睡眠時間の短縮は躁うつ病で多く見られます。原因を探らず眠りの問題だからと全て睡眠導入剤に頼るのは、症状をこじらせ薬への深刻な依存症を招きません。要はうまく眠れないから具合が悪いのではなく、具合が悪いから眠れないのです。専門医院で正しく原因を探って下さい。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/06/21
- No.238 子育て・仕事・家庭の悩み、お酒で紛わせていませんか?
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自動販売機などで気軽にお酒が買える時代、女性同士の集まりでも、お酒を口にする機会が多くなっています。そんな中、アルコール依存症になる人が増えているそう。実は、女性は男性より少ない量で依存症になる確率が高いと言います。 ストレスや悩み事があると、ついお酒を飲んでしまうことはありませんか? 子育てや仕事、嫁と姑の関係など原因は人それぞれ。嫌なことを忘れるために今までコップ半分程度だったのに次第にコップ一杯、そして習慣性に。すると日中嫌なことがあっても、あまり気にならなくなるそう。なぜならその後お酒を飲めば気分が楽になり、嫌なことを忘れられると分かってくるからと言います。 また家事をしながら飲んでしまうなど、アルコール濃度を下げないように一日に何度もお酒を飲んでしまうのは分散飲酒の可能性も。冷蔵庫にお酒がなければ何としても買いに行く「アルコール探索行動」も注意しなければならないでしょう。 手がつる、寝汗をかく、ドキドキする、手が震える、などの症状は赤信号。専門家の受診が必要に。でも自分の”心のコントロール”が効かなくなるその前に、早めに心療内科に相談してみるのも一つの方法ではないでしょうか。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/06/21
- No.237 「摂食障害」で苦しんではいませんかい
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ぽちゃっとしたほっぺた、二の腕やお腹、太モモのお肉が気になる思春期。やせたいと思う人は多いでしょう。でもそのやせたいという強い願望から“まったく食べない”状態になり体重はどんどん減り体を壊してしまう・・・。また次第に”過食”に走り、食べては嘔吐、下痢や利尿剤などを用いた過激なダイエットをしたり、吐けずにどんどん食べ続けてしまう人も。こういった症状は治りにくく鬱病や自傷行為、万引きなどにつながってしまうことも多いそう。さらには、肥満による合併症で医療的なケアが必要になる場合もあります。 また、絶えず甘い物を口にしていないといられない「甘味依存症」も多いそう。さまざまな家族背景により母親のお乳から離れられず、親離れ子離れがうまくいかない分離障害のため、一人になったとき起こるといいます。そのため肥満や血糖値が上がってしまうことも。 心理的な問題で過食やイライラをコントロールできなかったり、甘味依存の場合には精神的なケアも必要に。家族関係が歪んでしまう「スキュードファミリー」になるケースもあるので少しでも早く改善したいと親が一緒に、または家族だけで相談に訪れるという人も多いです。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/06/14
- No.236 バスや電車に乗るのが怖い
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「通勤の途中、ある日急に怖くなりました。今は何とか我慢して乗っていますが。」こんな相談がありました。 電車やバスに乗っていると非常に強い不安が襲ってきて、動悸や息苦しさ、冷や汗がどっと来る。このまま気が変になってしまいそうだ・・・。 運動や通学途中に、こんな辛い思いをされている方は少なくないようです。一般にはパニック障害がよく知られていますが、実際は他にも様々な原因が考えられます。例えばそれがうつ病であっても不安感は襲ってきますし、車内の人からジロジロ見られて更に苦しいと感じれば、統合失調症も疑われます。電車・バスそのものが怖い恐怖症の場合もありますし、職場や学校に溶け込めない適応障害が電車やバスを怖くしているケースもあります。 原因が違えば、処方するお薬も治療法も変わってきます。電車やバスに乗るのが怖いと感じられる時は、実はいろいろな心の問題の入り口に差し掛かっている場合が多いのです。気力で克服するというのは悪化のもと。早く笑顔を取り戻すためにも、症状が出たらすぐ専門医に相談して下さい。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/06/14
- No.235 ひきこもりの子どもを抱える母親の悩み(3)
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この記事は、No.225からの続きです。 今回はいくつかの質問にお答えしましょう。
Q1.親として気をつけることはありますか。
子どもの状況を受け入れられずに、八つ当たりをしてしまう親がいます。これは子どもにとって非常にきついことで、大問題です。親は気持ちをコントロールすることを学ばなければなりません。
Q2.子どもと同じ先生でいいのですか。
昔と違い、今は状況全体が見えやすい、コミニュケーションも取りやすく効率的ということで、同じ先生が良いでしょう。
Q3.ひきこもりは治りますか。
病気の種類によって違ってきます。治るものも治らないものもあります。しかし治らないものでも、最終的には、通院である程度よくなり悪化させないことができます。加えて家族が病気のお子さんとうまく共存できるようになります。病気のお子さんの面倒を見るためには、母親が元気じゃないといけません。ですから、当院では積極的に母親へのサポートをします。
Q4.女の子、男の子の特徴はありますか。
女の子の場合、母親が元気になると引きずられたように共に元気になっていきます。父親が適切に関わってくれると、さらにいいですね。子どもは周りの環境に影響されやすい存在ですから。 男の子の場合、父親とコミニュケーションがあれば、社会性が保たれているといえます。父親とのやり取りができるようになれば、回復してきたという目安になります。ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/06/14
- No.234 退職して空虚感感じていませんか
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世間をにぎわせている団塊の世代の退職。「時間ができたらあれがしたい!これがしたい!」と思い描いていた趣味や、夢見ていたのんびりとした生活を始める人もいるでしょう。でも中には、だんだんと飽きてしまう、何か物足りなさを感じてしまう・・・ふと「仕事あっての趣味」だったことに気付いてしまう人も多いそう。また銀行の金利もあてにできず、年金だけでの生活や将来に対する不安も募ってくるのがこの時期。 一線から退いた寂しさや疎外感で心に“ぽっかり”と穴が空いてしまったような空虚感や老後への不安により、不安障害や認知機能の低下や高齢者の“引きこもり”が起こることもあると言います。 そんな中で中小企業の嘱託などで、週に数回働くという人も増えています。また長年培った技術を若い人たちに伝授するなど、満足感、達成感を得るのも生き生きと過ごせる方法とか。 家庭の中に居場所がないと淋しさを感じる人は、お母さんだけに任せていた家事のパートナーになったり、家庭での過ごし方を考えてみるのもよいですね。 また、「団塊の世代の五月病」にかからず、心の健康を保つために専門家に相談するのも良い方法かもしれません。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/05/17
- No.233 なぜギスギス? いさかいだらけの結婚生活
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「短気な夫に苛立ち、私も子供に手を上げてしまいます。安らぎがありません。」こんな相談が。 幸せになりたいと願ってはじめた結婚生活が、なぜか悲惨な毎日になる。そんな悩みを抱えている人は少なくありません。そこには幼少期の不遇な家庭生活をコピーし直してしまうという理不尽さが介在しています。 例えば、父親が酒乱で短気、黙って耐える母親、そんな両親の姿に「絶対ああならない」と思いながら、結局父と同じタイプの夫を選んでしまうという事実があります。つまり、無意識のうちに両親の行動パターンを習得してしまっているのです。「暴れないで」と思いながら、激情環境の中で安定してしまっているので、夫が優しいと物足りない。更に、暴力を受けて育つとその育て方を繰り返してしまう。分かっていながら抜け出せないから苦しいのです。 激しい感情の起伏の中で育った人は問題の解決に向け静かな対処が難しく、周囲と衝突しがちです。しかし、変わろうという気持ちがあれば今はお薬の行動療法で相当改善します。専門医への相談をお勧めします。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/06/07
- No.232 仮病を使って学校に行きたがらない
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「『頭が痛い』と言って休みたがります。どこも悪くなさそうなのですが。」 風邪でも食あたりでもないのに「痛い痛い」と布団から出ない・・・。これはどう見てもズル休みの仮病だわ、とすぐに考えがちですが、全部嘘と決め付けるのは危険です。そこには見過ごせない心の問題が潜んでいる場合があるからです。 例えば現在、学童の10%が羅漢しているといわれる不安障害の中の身体表現性障害の場合のように、身体的に問題はなくても実際痛みを感じるケースもあるのです。放っておけば心の病気になる恐れのある原因に気付くことも大切です。勉強の遅れ、いじめ、過度な習い事、ゲームによる睡眠不足など、心も身体も疲れ切って仮病を使わざるを得ない状況に追い込まれている場合が少なくありません。これを無理に行かせようとするのは、怪我をしている子に運動を無理強いするのと同じです。解決するためには日常生活を見直し、学校の先生と連携しながら対処する事が必要で、それでも改善が見られない場合は専門医に相談して下さい。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/05/31
- No.231 「介護」で追いつめられていませんか
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介護する年齢が高くなり、「介護疲れ」を感じる方が多くなっていると言います。体力がだんだん落ちてきている年齢で、体位を変えたり入浴の介助など慣れない日々が続き、体だけでなく精神的に参ってしまう・・・。 以前なら近所におじさんやおばさんが居たりと、手分けをして介護できましたが、核家族化が進み、どうしても親の介護は女性に負担が掛かるのが現状。ご主人が仕事で忙しかったりして。“私が面倒を見なければ”と自分自身を追い込んでしまう方も多いとか。夜トイレに行くたびに転ばないかと心配で起きてしまい。生活のリズムが崩れ睡眠障害に陥ってしまったり、不安やドキドキ感が強くなる、涙が出る、気分が落ち込む、だるくて面倒を見たくても見られないといった症状を訴える方が増えているそうです。 そんな時は介護ビジネスを利用するのも一つの方法。デイケアなどの利用で心のゆとりもうまれ、介護疲れから解放されたという方も多いそう。 でも、どうしても症状が改善されない、疲労とは違う疲れを感じる、介護しながら冷たくしてしまったりぞんざいに扱ってしまうと悩んでいる方は、一度専門家に相談してみては。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/05/31